トップタブ(ページ群)

2010年9月11日

スウェーデンの森

昨年の北極圏の旅行でお世話になったスウェーデン人夫婦のローシュとリエナに再会するため、デーゲルフォシュ(Degerfors)に寄ってきました。行ってビックリ、湖と森に囲まれたカントリー風の素晴らしく美しいお宅で、綺麗に刈り込まれた芝生にはリンゴの木。まさにスウェーデン!!!という感じです。

※ちなみにローシュは友達のトビアスのお父さんで、デーゲルフォシュはトビアスの生まれ故郷。

この素敵なおうちで一泊させて頂いた翌朝、2人が森にキノコを採りに行くというので同行させて貰いました。湖のほとりの非常に豊かな森です。一歩踏み込んで、あまりの美しさに感動。きちんと手入れされた森は、地面が一面の苔で覆われていてフカフカです。あちこちに赤いリンゴン(ベリー)が実っていて、とっても美味しい。ジャムの原料としてバケツ一杯採取する人もいるのだとか!


お目当てのキノコはカンタレールといって、黄色くて不思議な形をしてます。こんな派手な色をしているのに、なかなか見つけるのが難しくて、初心者の私は目を凝らしても全然発見できません。ところが名人のリエナはいとも簡単に群生しているカンタレールを発見し、まるで魔法でも使っているかのようでした。さすが!


森の中には獣道もたくさんあり、狩猟が得意なローシュはイノシシがいないかと探しています。ここではハンティングは身近なアクティビティで、ハンター達はライフルで野生動物を仕留めますが、同時に森の動物達を非常に大切に保護しています。ビックリしたのは、森のふちの不思議な野原。「この野原はね、イノシシの好物の植物だけを育ててるんだよ。こうしておけば彼らが空腹になる事はないし、民家の畑を荒らしたりしないで済むからね。」と、ローシュ。うわあ、そんな話はじめて聞いた。


デーゲルフォシュの森をこよなく愛するローシュは、スウェーデンの森のことを沢山教えてくれました。スウェーデンにとって森は大切な資源です。建築用の木材も地元の森で生産されたものですし、薪やチップは暖房システムの燃料としても現役です。(ここでは非常にエネルギー効率の良い燃焼炉が整っており、僅かな薪をくべるだけで一日中家をポカポカに保つ事ができるほどです)


伐採された樹木はてっぺんから根元まで完全に再利用され、切り株も残しません。伐採の跡地には植樹する事になっていますが、樹木の種類が偏らないよう、親となる木を何本か残して自然に森を育てたりします。全ての森の所有者には森を適切に管理する義務があって、間伐をサボる事は出来ないそうです。(なんとヘリで間伐状況をチェックされるらしい) こうして良い木が育ち、森林の所有者は木材を売ることで立派に生計を立てる事ができます。もちろんローシュもその一人です。


さらに凄いのは、スウェーデンでは間伐などの森林管理にかかるコストは木材の販売価格の僅か2割だそうで、採算性が非常に高いそうです。森を適切に管理することで、豊かな生活が保障される仕組みが出来ているんですね。これは人件費に泣く日本の林業とは大違いかも。。。(日本では間伐の人件費が出ないとかで、ひどい過密状態のまま放置された森林を良く見かけますが。。。)


都会っ子の私は、「木道の外を歩かないでください」「植物に手を触れないでください」的な華奢な自然しか知らないため、自然に指一本触れない事が自然保護なのだと漠然と思っていました。でも、ローシュの話を聞いていると、人が積極的に自然と関わることによって良好に保たれる生態系もあるのだなぁ、と改めて実感。


苔むしたデーゲルフォシュの森にはキノコやリンゴンの実が豊富に育ち、多くの野生動物が生息する豊かな森です。
人はキノコを採り、イノシシを狩り、木々を伐採しますが、ここでは森の命を奪うことと森を慈しみ育てる事は同義として理解されているように感じました。


地元の人しか見る事のできない身近な森へ案内して貰って本当に感謝です。
ローシュ、リエナ、暖かく迎えてくれてどうも有難う!

にほんブログ村 ひとりごとへにほんブログ村 大陸横断・大陸縦断へ