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2010年2月6日

終身刑の囚人

2010年2月6日 終身刑の囚人

会社の仕事が一段落したので、久々にDVDを借りてショーシャンクの空にを観ました。どんな映画かもよく知らずにバクチのつもりで手に取ったんだけど、観たら「こいつはスゲー」と感動してしまったので、ちょっと書きます。

人妻とその浮気相手が殺害されたら夫が疑われるのは当然の流れ。。。主人公のデュフレーンは教養ある若き銀行マンだったけど、その流れに押されて終身刑を言い渡されてしまいます。そこからショーシャンク刑務所での何十年にも及ぶ長い服役がはじまるのです。

刑務所では想像を絶するような理不尽な仕打ちの嵐。その中で、デュフレーンは誇りを失わず、知性と教養を生かして周囲を助けてゆくうちに、囚人からも看守達からも一目置かれる存在になってゆきます。内向的で物静かな彼が人々の信頼を得ていく過程は実に興味深くて、そのままストーリー中盤で終わったとしても立派な映画だと思います。

だけど面白いのは、この映画の本当のメッセージは「希望」だけではないということ。そのために数々の伏線が張られてるのだけど、それらは巧妙に隠されている。観ている側は終盤になってからやっともうひとつのメッセージ「自由」に気付かされ、目が覚めるのです。

「ショーシャンクの空に」は、終身刑を言い渡された囚人と刑務所、という特殊な環境が舞台になっています。時に非常に暴力的な出来事も発生し、刑務所はなんて恐ろしい所なのだろう(⇔自分は自由な立場で良かった)と思わされるのですが、それはどうかな?と思う。

終身刑の囚人たちは高い塀に囲まれながら、人生の大半を労働に捧げて過ごします。改悛が認められれば、仮釈放という形で社会復帰できる可能性もあるけど、大体それは高齢になってから。しかし仮釈放される頃には、自由な世界に耐えられず自殺してしまう者もいる。

実は、この映画で描かれている事を"心の眼"になったつもりで覗いてみると、我々の人生とすこしも変わらない事に気が付きます。
我々は彼らとそんなに違うでしょうか?『人生の大半の時間を投じて働き続ける事が人として当たり前の義務であり、そのためには理不尽な事も我慢し、やりたいことは高齢になって仕事をリタイヤしてからやるべきだ』と思っているのなら。

そんな人生も悪くないかも知れません。ただし、塀の中でも外でも、自由を享受する準備を日頃からしてきた者にしか、自由の正しい使い方は分からないのではないかと思うのです。

この映画は赤字だったけど、レンタルが開始されてから口コミで徐々に評判が高まっていったらしい。多くの著名人がこの映画を推薦しているというのも分かります。

だけど、主人公デュフレーンが塀の中で心の底から願っていた事はなにか、またそれを実現するためにどのように努力を積み重ねていったかという事に思いを馳せると、もはやこの映画は娯楽としてではなく、大切な道しるべとして自分の心に刻んでおきたいのです。

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